そんなわけで、意気揚々とシンポジウムに出ようとしたのですが、いきなり電車を乗り間違えて遅刻しそうに(笑)
茜「何やってんのよ、お兄ちゃん(^◇^;)」そんで慌てて西新宿五丁目駅の階段を駆け上っていたら、同じように階段をかけ上がる人あり。パッと見たらなんとそれが
池田信夫さんでした(^^;)
茜「えーっ(^◇^;)」思わず(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマと思ったんですが、面識もないし声もかけられず(新聞のインタビューでこちらは顔を知っていた)、ついていくことに。私は重度の方向音痴なので、池田さんについて行くと会場に辿り着くという寸法です。
茜「主役のパネリストだし、一緒に遅刻したら安心かもね(^◇^;)」ところが! なんと池田さんも道がわからなかったようで、道路わきの地図をしげしげと見つめられている様子。もしかしてヤバイんじゃないかと(^^;)
茜「ちょ…(^◇^;)」しょうがないので伝家の宝刀・auナビで検索。歩きながら、あーでもないこーでもないと操作していると、シンポジウムの方が池田さんを迎えに出ていて、ようやく方向が決まる。あーよかった( ´ー`)
茜「ちなみに業務としてWebサイトの地図を印刷して持ち歩くのは、厳密に言うと著作権法30条の私的使用の範囲から外れるんじゃないの?(^◇^)」それは今のところ30条ではなくて、サイトにアップロードしている以上、プリントアウトされることまで予見しているからOKという法解釈になるらしい。まあお兄ちゃんは業務じゃないから関係ないけど(笑) ・・・ま、そんなわけで、ちょっと小難しい内容なので、興味のない人は、この記事は読み飛ばし推奨です。

さて、
「ダウンロード違法化」不可避にという文化庁の方針を受けて、MIAU(インターネット先進ユーザーの会)が緊急シンポジウムを開きました。詳細はコチラ↓
・
緊急シンポジウム「ダウンロード違法化の是非を問う」開催のお知らせ (
MIAU)
パネリストは、
津田大介 (MIAU発起人、IT・音楽ジャーナリスト、私的録音録画小委員会 専門委員)
小寺信良 (MIAU発起人、AV機器評論家・コラムニスト)
池田信夫 (MIAU賛同人、上武大学大学院経営管理研究科教授、情報通信政策フォーラム(ICPF)代表)
斉藤賢爾 (MIAU賛同人、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 講師)
小倉秀夫 (弁護士) (敬称略)
と、なかなか面白そうな方々が揃ったので行って来ました( ´ー`)
茜「津田大介さんは私的録音録画小委員会の方ね(゜◇゜)」簡単に言うと自由にネットを使いたいユーザー代表という形だね。パブリックコメントは、ほぼ無視されたっぽいし、なかなか辛いところですが、まだまだ戦意喪失しないという感じでした。
そんなわけで、話の中から興味深かったところをいろいろ紹介したいと思います。尚、このシンポジウムはライブでネットにストリーミング配信されてたみたいで、YouTubeやニコニコにも上げるとのことです。動画が上がったらまたリンクしたいと思います。
(1)津田大介さん(IT・音楽ジャーナリスト)
・ダウンロード違法化によってユーザーが萎縮してしまわないか
・新たなネットサービスの立ち上げが阻害されてしまうのではないか
・ネットの巨大な仕組みを、私的録音録画小委員会という小規模の会合だけで決めてしまっていいのかどうか
[感想]
小委員会の中で一人、獅子奮迅の活躍をしている格好の津田さん。この方が小委員会にいなかったら、かなりマズかったような気がします。理を尽くして話し合うという粘り強い姿勢が印象的でした。
(2)小倉秀夫さん(弁護士) 
・違法アップロードを取り締まるのはわりと容易いが、それを実行してないのは権利者の怠慢ではないか。海外では積極的に摘発している。ダウンロードを違法化するよりも、アップロードを取り締まる方がいいのではないか。
・オトリファイルを使ったとしてもオトリは違法アップロードファイルにならないから摘発不可能。
・違法ダウンロードを取り締まるのはまず不可能。ダウンロード者の自宅に行くしかない。
・実質的に取り締まれないのに、ダウンロードを違法化することに意味があるのか。
・違法コンテンツを代替する正規のコンテンツが流れていない現状。お金を払っても見たい人がいるのに、正規の業者がやってくれないので、ネズミ小僧的な人が出てきている。
・有料の適法マークを作ってしまうと、マークを取れない人が出てきてしまい、国民の表現の自由や知る権利を奪う恐れがある。ダウンロード違法化が検閲につながる可能性。
・実務上行使されにくいとは言っているかが、行使されると弊害は大きい。立法を推進する官庁が権利を行使しないから安心してねという法律を作るのはおかしい。
[感想]
実質的に取り締まれないものを法制化しても意味はないというのは新鮮な理論ですね。威嚇のつもりでも、ユーザーの萎縮によるネット文化衰退のデメリットが生ずるということ。
ただ、権利者側が違法アップロードを摘発するのもちょっと大変かもしれないですね。従来の業務があるだろうし、音楽はJASRACがあるけど、映像なんかは取り締まりに不慣れかも。ただ、ダウンロードはもっと摘発が難しいので、ダウンロード違法化はやはり実効性に乏しいイメージです。
お金を出しても見たいのに正規のコンテンツが流れていない状況はユーザーとしては辛いですが、そこは、ないなら我慢するということも必要かもしれないですね。低額でコンテンツを開放してくれると一番良いのですが(そのあたりにビジネスチャンスもある感じ)。やはり文化を共有するのは人類の発展に寄与しそうなので、なんとかいい方法を見つけて欲しいもの。
(3)池田信夫さん(上武大学大学院経営管理研究科教授)
・経済的には、動画配信の弊害として権利者の損失(C)と宣伝効果(B)がある。またユーザーの利益(U)がある。今までの研究によると、C≒Bと言われている。したがって経済的には、Uの分だけ社会的に得をする。経済的な不利益とはいえない。前提がおかしい。
・文化庁(政府)は権利者のことだけで動いている。ファイル共有によって社会の不利益になっているとはいえず、むしろ得をしているのでそのあたりを考えるべき。
・ダウンロードを違法化すると、コンプライアンスを遵守する企業はWWW(ネット)まで禁止される可能性がある。(例えばgooなどは検索エンジンを国内に置けず、海外においている)
[感想]
全体論では経済的なプラマイ0かもしれませんが、各論ではわりと差があるんじゃないかと思いました。例えば、M-1優勝のサンドウィッチマンのYouTube動画化はプラスだろうけど、零細DVDコンテンツを流されてしまうとマイナス、とか。個人的には暫定的なガイドラインで、一度TVで放送されたものはいいような気がしてますが、DVDなんかはアウトかも。
また、2ちゃんスレで見た比喩でいうと、スーパーなんかで販売者が試食を振舞うのはいいけど、客が勝手に袋を開けて味見して買い、儲かったからいいじゃん、と言うのは確かに良くない気もします。この比喩が適当かどうかはちょっとわかりませんが。あと、クリエイターの声があんまり聞こえてきてないかもしれません。TBNで頂いたコメントやメールでは、製作者の方が気分を害してるという事例も2件ありました。動画配信されているといっても、いろんなケースがあるので、個々の立場で考えるのも必要のような。動画配信されてしまうと、製作者の生活が苦しくなるようなケースはやはりよろしくないでしょうし…。安価で配信してくれるのが気も咎めないし、一番いい気がしますね。その点、反対するだけではなく、対案も出してみたらいいかなと思いました。変な中間搾取者を減らし、製作者にお金が行くシステムというか。あと、権利者がある程度収入が得られたら、その著作権を段階的に安くして開放するとか…。
(4)斉藤賢爾さん(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 講師)
・ダウンロードを違法化すると「自由なユーザー」と「不自由なユーザー」、「大きな権利者」と「小さな権利者」を生む。自由が阻害される。
・情報は複製されて初めて価値を生む。複製に制限をかけると、ユーザーにとっての価値が下がる。(権利者にとっては経済的な価値が出る)
・情を知って(違法サイトと知って)ダウンロードしたかどうかを判別するのは不可能。
・ストリーミングは情報が固定されない。ダウンロードは固定される。ただし、ユーザー側の環境操作でストリーミングをダウンロード的に扱うことも出来るので、ストリーミングとダウンロードは区別できない。
・適法マークは高度なものだと金がかかるし、安いものだとコピーされてしまう。
[感想]
技術的な話が斬新でいろいろと面白かったです。何か頭の良さがムンムンと伝わってくる方でした。結局、文化庁はやっばり、あんまりわかってないんですね。
(5)パネリストによるディスカッション司会者「現時点の行政では、放送は総務省、経産省はデバイス、文化庁は著作権ですが、文化庁が両省をコントロールしてるように見えるが、その点いかがですか?」・池田信夫さん
霞ヶ関の中では文化庁は孤立している。経産省はむしろ文化の流通を推奨している。輸入権を認めるかわりに、公取にはレコードの再販をやめさせるというバーターがあったが、経産省は騙された格好。
著作権は、神社仏閣を扱うな文化庁のような役所が扱うべきではなく、情報政策を進めてる経産省も総務省も文化庁には手を焼いている。IP放送の時もトンチンカンなとこをやった。
文化庁がこのような狂った政策を続けていいのだろうか?
司会者「DRMについて…」・斉藤賢爾さん
あらゆるDRMは解除可能。
・津田大介さん
海外でDRM情報を共有する時、たとえば台湾などでは関わった会社がつぶれたりして、情報が漏れてしまう事がある。不可能と思われたMSのWMP10さえDRMがアッサリ破られてしまった。DRMの契約ベースでうまくいくのはかなり難しい。
司会者「録画の私的録音録画補償金制度が解決すると、30条自体が消えてしまわないか」・小倉秀夫さん
教科書的には「法は家庭に入らず」という原則がある。30条がなくなると、家庭にまで捜査が及び、ドラえもんの絵描き歌さえうたえない。
津田「今のところ、YouTubeやニコニコはストリーミングOKだが、ずっとそうなのかはわからない。刑事罰つきでもっと強化される可能性もある。文化庁の口約束は覆されるケースも多いのではないか。そういう実例はありますか?」・池田信夫さん
日本の法律は抽象的で、役所が法律の解釈を決める事が多い。総務賞が2010年に国会に出すことを進めている「情報通信法」(仮称)は放送と通信の区別を廃止することを目指していて、インフラとプラットフォームとコンテンツという3つのレイヤーに分けて、オールITを前提とし、経産省も同意している。しかし文化庁は孤立してるので、通信を放送と別に扱おうとしている。結局、日本政府として情報通信に対する政策がないとしか言いようがない。
・小倉秀夫さん
文化庁が言ってて、実務でくさがえされた典型的な例は貸しレコード。文化庁は許諾料を払えば大丈夫だから…という話だったが、外国のレーベルはいっさい許諾せず、1年間レンタル禁止となった。
日本のレーベルでも貸与権をJASRACに譲らないケースが発生し(レンタル屋と消費者ガックリ)、文化庁の言い分とは違う結果になった。
司会者「政府が保護する事で産業が発展することもあるのではないか」・小倉秀夫さん
政府が寡占体質を作ると新規参入ができなくなってしまう。日本の映画も映画館ごとに垂直統合して衰退し、外資のシネコンが入ってきてやっと回復してきた。新聞も規制が厳しくてうまく発展していない。今の携帯会社もそうである。既存業者の利益が守られると産業が衰退する。
(6)出席者による質疑応答「パブリックコメントのテンプレについて…」・津田大介さん
以前、レコード輸入権の時に権利者側がテンプレ意見をやって賛成多数で通されてしまった。それに対抗して今回はこちらもテンプレを導入した。賛成側にもテンプレが多かった。ただし、テンプレ以外の自分の言葉のコメントも多く、賛成側を上回っていた。
「MIAUは違法ダウンロード推進派と思われてないか?」・津田大介さん
そう思われてもしょうがない部分もあるが、こういうシンポジウムを通して、いろんな面から疑問を投げかけていくことの意味はあるのではないか。
「MIAUはロビー活動など考えているか」・津田大介さん
年明け早々に自民や民主に説明しに行きたい。ただし今他の問題でもめてるので、予算以外の著作権法案自体は出されるかどうかも不明
・小倉秀夫さん
来年以降、やってみる。みなさんにも知り合いの政治家にアタックしてほしい。レコードの輸入権の時は遅すぎたが、この件についてはまだ間に合いそう。
「文化庁の力の源泉は何か」・池田信夫さん
一言でいうと「外圧」。
民主党はこの法案についておかしいと言ってる人は多く、自民党との対立の争点も作りたいので乗り気なのではないか。民主党が嫌だと言えば法律は止まるので期待できる部分はある。
朝日新聞の記者の方「ITに詳しくない人にとっては、ダウンロード違法化の何が悪いのかという受け止め方があるが、簡潔に説明すればどうすればいいか?」・小寺信良さん
わかりやすく説明していくのがこれからの課題
-以上-
[総括]文化庁イラネ!というのが3日前くらいの私の結論でしたが、MIAUの方では粘り強く理を尽くし、ロビー活動もされるようです。実際のところ、こういう抵抗をするしかないし、民度の高い交渉姿勢だなと思いました。
ダウンロード違法化の何が悪いのかといわれると、簡単に言えば「知る権利を侵害される」というのが簡潔なフレーズかも。ただ動画配信というのは範囲が広すぎて、頭と尻尾では状態が違うというか、もっと細かく議論される必要も感じました。例えば新人は宣伝として流してもらった方がいいし、売れてる人は困るという傾向もあると思います。また生活のかかってる製作者もいれば、わりと金持ちな人もいるでしょう。そしてコンテンツ製作者の心情も考慮されるべき気がします。
一方、YouTubeがもたらされてからの楽しい状況を考えると、やはり文化の滞りない流通は人々を幸せにするし、また、コンテンツの輸送方法としても円盤の固形物に入れるよりはるかに便利なので、なんらかの折衷案みたいなのができてほしいですね。ビートルズの歌のようにある程度定番のコンテンツについては、図書館に行くと無料で本を借りられるようなレベルで文化に接する事ができれば、ユーザーはうれしいのではないかと思います。
意識としては「コンテンツを売って利潤を得る」というのが「コンテンツを発表したらいつの間にか儲かっていた」に変わっていくのかもしれませんね。レディオヘッドの値段自由化販売モデルは、ある意味、所得税みたいで凄いと思いましたが。たくさん売れてみんなが接する事ができて、しかも儲かっていた、というのが理想っぽいですが。
全てがウインウインとなるのは難しいですが、近距離的には最大公約数的な方法、将来的には斬新な、あっと驚く効率的な方法を見つける感じでしょうね。
その前にまずは、物事がよくわかってないKYな文化庁に自発的に退場して欲しいですけど(笑)
そんなわけで、なかなか熱のこもったシンポジウムでした。
関連→
・
MIAU : 公式サイト・
私的録音録画小委員会委員名簿・
池田信夫 blog・
benli(小倉秀夫さんのブログ)